―3―

Side:実夕

「じゃあ席替えは好きなトコ座れー。早いもん順だぞー!」

「実夕、早く!ココにしよ?私、実夕の前にするから」
『うん、ありがと。ココなら隣一人だからちょっとは気が楽!』

 そう。美沙が確保してくれた席は、窓際の一番後ろ。
 左お隣さんは壁。
 男女交互の列になる席順において数少ない、男の子に挟まれなくていい席なんです。

「あ、実夕ちゃんそこの席?じゃあ俺、隣イイ?」

 とっさのことで、声も無く頷くしか出来なかった。頷くだけなんて、感じ悪いよね…。

「やりー!これで“実夕ちゃん、男なんか怖くない大作戦”が実行出来るな!」
『な、ななな何それっ?』
「ははっ!噛みすぎだって。それにさっき言ったじゃん。俺で慣れて男を苦手じゃなくそう、って」
『あ…うん、そっか。よろしくお願いします!』
「おー任せとけ!あ、でも昼休みに、誰だっけ…篠田?と仲良さげにしゃべってなかったか?」
『あ、そーなの。凌とは幼なじみで。大丈夫なの、全然。』
「ふーん…なんか不思議だな。って、もしかして…“特別な”幼なじみとか?…そっか、そう言うことか」
『違う違う!ただの幼なじみだよ。凌は気付いた頃にはもう一緒にいたから平気なんだと思う。…よく分かんないんだけどね』
「なんだ、俺はてっきり…」
『そ、それでね!私、凌以外でこんなにしゃべれる男の子初めてなの。だから…ありがとね』
「まじ?やりー、じゃあ俺、男友達第一号じゃん」
『ヤじゃない?めんどくさい、とか…』
「何言ってんの!言ったじゃん、実夕ちゃんのこと気に入ったって」
『…うんっ、じゃあよろしくね』
「こちらこそ」

「話はこれで終わる。あ、そこの一番後ろの席のしゃべってた二人、行事実行委員な。じゃあHR終わりー」

「実夕、暁人クン…頑張ってね。地獄の行事実行委員。」
『うー…ごめんね、私のせいで』

 そう、行事実行委員とは…学園祭、体育祭を始め、すべての行事を担当する──誰もがなりたくない委員のこと。

「え、別に全然。俺、行事大好きだし。ってか、最初っからやるつもりだったし!…って、もしかして実夕ちゃん嫌だった?ごめんなー…俺のせいで」
『ううん、違くてっ。…私、男の子の前に出るのも苦手で…だから、足手まといになったらごめんなさい』
「ははっ!だから謝んなくていーの!おもしろいなー、実夕ちゃんは」
『うー…。あ、でもね、私こういうのやるの初めてだからね、すごく楽しみ!一生懸命やるからね!』
「そうこなくっちゃ。大変な分やりがいあるぞ。こーゆーのは楽しんだもん勝ちだからな!」
『うん!それに、暁と一緒ならあんまり不安じゃないよ』

 不思議…暁と話してると何でも出来そうに思えてくるよ…。

 きっと今までで一番忙しくて、一番楽しい一年間になる気がする。

 へへへ、楽しみだなぁ。



≪BACK   NEXT≫